『Max Payne3』は2012年に発売されたマックスペインシリーズの3作目となる作品だ。主人公であるマックス・ペインは妻子を失った悲しみから逃れるために酒浸りの日々を送っていたが、ひょんなことから久々に再会した警察学校時代の旧友の誘いを受けて、ブラジルで民間警備会社の仕事につくことになる。その後、クライアントの誘拐事件を通して巨大な陰謀に巻き込まれていくというハードボイルドなストーリーだ。
練りこまれたシナリオがプレイヤーをゲームの世界へ引き込んでくれるのだが、その反面登場人物や組織の関係性が複雑であることから、初見のプレイでは置いてけぼりをくらうことがある。実際筆者も2,3回プレイしてようやく理解できた。そこで登場人物の相関関係を図にまとめるとともに、プロフィールやゲーム内での立ち回りなども整理してみた。筆者と同様に「いまいちゲームについていけなかったよ」という方は、是非参考にして頂ければ幸いだ。
尚、記事の特性上完全なネタバレを含んでいるので、まだゲームをやっていない方や自分で真相を突き止めたい方は、閲覧に注意してほしい。
では、早速どうぞ・・・
いきなり相関図いきます
マックス・ペイン
ラウール・パソス
パソスはブランコ一族の警備担当として長男のロドリゴに仕えているのとは別に、弟のビクターからも秘密裏に様々な任務を請け負っている。マックスの勧誘もビクターからの指示によるもので、これ以外にも”ファミリーの警護”という名目で、アンダーグランドな任務を報酬と引き換えに実行している。ただし、臓器売買等の核心に迫る情報は一切知らされておらず、ビクターの裏の顔を知らないまま、体のいい便利屋として利用されている。
基本的には悪い人間ではないため、マックスを騙して事件に巻き込んだことに罪悪感を感じており、最終的には彼と和解している。ジョバンナとつきあっており、彼女はパソスの子供を身ごもっている。
ロドリゴ・ブランコ
2009年3月にパーティー会場で出会ったファビアナと結婚するも、資産目当ての彼女とは相思相愛な関係になれておらず、周りからもトロフィー・ワイフと見られている。ファビアナを狙った誘拐未遂事件を契機に、ボディーガードとしてマックスを雇った。
兄の資産を狙う弟ビクターの策略により、クラチャ・プレトがオフィスを襲撃した際の混乱に乗じて侵入したUFEのNo2バハマイヤーによって暗殺される。
ビクター・ブランコ
選挙資金は兄であるロドリゴが全面的に支援しており、活動資金には困っていないが、兄の莫大な個人資産を自分のものとするべく暗躍している。政敵であるカミラ・マチャドとサンパウロ市長の座を巡って争っており、得票数で不利な状況にあったが、家族の誘拐と殺人事件(ファビアナ/ロドリゴ/マルセロの死)による同情票を集めたことで挽回を図っている。
その後、陰謀を暴いたマックスの働きにより、市警察により逮捕されるが、裁判を待つ刑務所の中で自殺を遂げる(暗殺の可能性もあるが定かではない)。
マルセロ・ブランコ
基本的にオツムが弱いこともあり、ロドリゴに対する嫉妬心を見抜いた二男のビクターにうまく利用されている。ビクターがマルセロに対して、どの程度陰謀の全貌を話しているかは不明だが、彼が犯罪行為で得た金のマネーロンダリングを行うために、現金をパナマの銀行に輸送する仕事を担当させられるなど、ビクターの手足として動いている。
ファビアナの誘拐事件後、身代金の支払いにコマンド・ソンブラの拠点を尋ねるが、襲撃してきたUFEに捕縛されクラチャ・プレトに引き渡されている。その後、ミロ・レゴの手によって殺害されるが、これは恐らくビクターの指示による口封じの可能性が高い。
ファビアナ・ブランコ
2008年に慈善晩餐会の席で実業家のロドリゴ・ブランコと出会い結婚。その後は慈善社交家として、チャリティー・イベントや社交会の常連となるものの、私生活では薬物所持や飲酒運転で逮捕されたりとスキャンダルに見舞われている。
ナイトクラブで羽目を外していたところをコマンド・ソンブラに誘拐される。身代金の引き渡し交渉のため、彼女はしばらくの間コマンド・ソンブラの拠点で監禁されることになるが、用済みとなった彼女は最終的にリーダーのセラーノに射殺される。
ジョバンナ・タヴァレス
マックスの同僚であるラウール・パソスと交際しており、彼の子をお腹に宿している。ファビアナの誘拐事件後、身代金支払いのためにコマンド・ソンブラの拠点を尋ねるが、襲撃してきたUFEに捕縛されクラチャ・プレトに引き渡されている。
マルセロとともに処刑されそうになるが、寸でのところでマックスに救出される。その後、恋人のパソスと共に安全な地に身を隠した。ブランコファミリーの中で唯一の生き残りである。
アンソニー・デマルコ
トニー・デマルコ
アルマンド・ベッカー
現場での部隊指揮はNo2のバハマイヤーに一任しているが、組織の総指揮を行っているのはベッカー本人。次期サンパウロ市長の座を狙っているビクターとは利害関係の一致から蜜月関係が続いている(ビクター:臓器密売のためにチンピラを”一斉検挙”することでスラム地域の犯罪率が減少して犯罪撲滅の政治実績となる ベッカー:一斉検挙をUFEに一任してもらうことで人狩りが容易になり臓器売買で莫大な報酬が得られる)。
戦闘時はグレネードランチャーで武装するなど、小柄な身丈に似合わない戦い方をする。ゲーム終盤、空港で追い詰められたベッカーはマックスとの戦闘になるが、機転をきかせたマックスによりグレネードを暴発させられる。左腕を吹き飛ばされ、全身に回復不能な裂傷と火傷を負ったベッカーはほどなくして死亡する。ゲーム中で最も壮絶で悲惨な死に方をする。
バハマイヤー
ベッカーの指示でロドリゴ・ブランコを暗殺する際(特に重要性の高いミッションについては)、彼自身が単独行動で成功していることから、現場叩き上げの実力と他人任せにしない性格が読み取れる。UFEの拠点に侵入したマックスとの戦闘で射殺される。
ウィルソン・ダシウバ
賄賂を求めない/受け取らない非常に稀有な存在の刑事であるが故に、汚職警官からは目を付けられており、特にUFEからは動向を監視されている。汚職や癒着が溢れるサンパウロにおいて、”刑事”として表立った捜査をすることは困難であることから、マックスを陰ながらサポートすることで捜査に協力させている。
マックスとの共同戦線により、一連の誘拐事件が闇市場での臓器売買につながっている事実と、黒幕であるビクター・ブランコの存在を突き止め、彼の逮捕に成功する。これらの功績によって彼は昇進したと考えられるが、その後の消息は不明である。
ミロ・レゴ
精神疾患及び反社会的行動傾向の持ち主で、弱者を支配して辱めることに快感を感じる性格。その残虐性ゆえか、銃よりも刀剣による近接戦闘を好み、護身用のPT92(ブラジル/タウルス社が製造しているベレッタ92のライセンス生産モデル)のほかに、常にマチェーテを携帯している。
2010年スラム街での任務中にギャングメンバーによって捉えられ、3日間の拷問を受けた。顔に残る生々しい傷跡は、拷問時にライターで焼かれたものらしい。
スラムの襲撃時にUFEより引き渡された捕虜のマルセロ・ブランコをギャングの仕業に見せかけて処刑しているが、これは恐らくビクター・ブランコの依頼を受けたものと考えられる。マルセロ処刑の直後、愛用のマチェーテでマックスに斬殺される。
アルバロ・ネベス
設立当初の組織は、強盗や麻薬ディーラー等の社会的に好ましくない人間を非公式に排除する活動を行っていたが、現在は”金で動く暗殺集団”へと成り下がっている。活動拠点としているインペリアルパレス・ホテルに潜入したマックスと対峙した際、あと一歩のところまでマックスを追い詰めるも、救援に訪れたラウール・パソスによって射殺されている。
アーサー・フィッシャー
臓器売買の拠点であるインペリアルパレス・ホテルにて、UFEにより連行されたセラーノ(捕虜となっていたがマックスにより解放される)によって斬殺される。皮肉にも斬殺に使用された武器は、自身が多くの市民を切り裂いたメスによるものだった。
セラーノ
当初は小さな街のストリートギャングに過ぎなかったコマンド・ソンブラを、サンパウロを代表する犯罪組織にまで成長させた。警察署や州施設を襲撃する複数の暴動を指揮しており、警察を対象とした破壊活動を積極的に行っている。
コマンド・ソンブラの拠点であるノヴァ・エスペランサをUFEに襲撃されたあと、臓器摘出用のサンプル(捕虜)としてインペリアルパレス・ホテルへ連行されるが、マックスにより解放されている。摘出手術を担当していたドクター「アーサー・フィッシャー」に対して一矢報いることには成功したものの、その後の足取りは掴めていない。(UFEの襲撃によって壊滅的な被害を受けたコマンド・ソンブラは体制の立て直しができておらず、敵対勢力であるトローパZに支配権を取って代わられている。そのためホテル脱出後のセラーノがノヴァ・エスペランサ(コマンド・ソンブラの拠点)に戻ったとは考えにくい。また爆発・崩壊するホテルから無事に脱出できたかどうかも定かではない。)
クラチャ・プレト (Cracha Preto)
「ブラック・バッジ」という意味の右翼の私兵団。元警官、元兵士、元警備員などから構成される400名程度の組織。UFEより武器・弾薬を提供されていることから、高性能で強力な武器を装備している。”地域の自警団”と喧伝しているが、実際のところは金で動く”暗殺集団”である。”近隣住民の保護”を名目に、住民から保護税を徴収していたが、近年は専ら麻薬や武器の密輸、要人暗殺を主な収入源としている。
一説では2010年から2011年の2年間で、地元の政治家や裁判官などの要人90名ほどの暗殺に関わったとの情報もある。2006年から2009年の間、組織の活動はギャングメンバーからスラムの統制を奪うことに焦点があてられており、その一環か、2008年には200名以上のホームレスの虐殺に加担したと言われている。契約殺人を偽装するために、犯行を地元ギャングのしわざに見せかけるといった特徴があるほか、極めて残虐な拷問を得意とする。
2010年以降は、スラム街における行方不明者増加になんらかの関与があると疑われている。活動拠点としている無人のホテル「インペリアルパレス・ホテル」に潜入したマックスにより、トップのアルバロ・ネベスとNo2のミロ・レゴを殺害され、メンバーの多くも殲滅されたことから、組織は事実上崩壊してしまった。
コマンド・ソンブラ (Comando Sombra)
1990年代半ばに、刑務所内を拠点とするギャンググループから分裂したメンバーで構成される組織で、3000名の構成員を数える大組織となっている。サンパウロにおけるほとんどの麻薬取引を牛耳っていることから主な収益源はドラッグであるが、昨今は契約殺人や要人誘拐などの犯罪にも手を広げている。
麻薬取引で得た収益を使って、国外からAK47やM500ショットガンなどの武器を密輸しており、構成員の武装化を図っている。高度に組織化されており、ギャングと言えでも統率のとれた動きをする。スラム街の住民に対する扇動活動により、反体制的な思想の植え付けを行うことで、彼らのサポートを取り付けている。
誘拐と臓器売買を目的としたUFEによるスラム街強襲作戦により、セラーノをはじめとする幹部のほとんどが射殺又は捕縛・連行されたことから、これを機に組織は急速に弱体化している。新興勢力であるトローパZとの抗争が長年続いていたが、セラーノを失ったことで勢力図が塗り替えられつつある。
UFE (Unidade de Forcas Especiais)
組織化と重武装化が進むギャングの取り締まりを行うために設置された市警察の特殊部隊・第55部隊のこと。通称は「ウーフェイ」(「ユーエフイー」ではないので注意)。警官へ支給される武器がPT92のような護身用のサブウェポンであるのに対し、UFEは重武装化したギャングの制圧を目的としていることから、レーザーサイト付きFALなどの突撃銃を装備しており、軍に比肩する火力を持つ。
ただし、装備のレベルに対して多くの隊員の戦闘スキルは未熟で訓練が行き届いていない。真に精鋭と呼べるのは、隊長のアルマンド・ベッカー及びバハマイヤーが率いる特殊訓練を受けた一部の隊員に限られる。サンパウロ警察のウィルソン・ダシウバにより、政治家との癒着と市民を誘拐しての臓器売買ビジネスを暴かれたことから、組織は解体されることとなった。